めっきの品質を安定させるうえで、前処理やめっき条件に目が向きがちですが、最終的な外観や機能に大きく影響するのが「後処理」です。
各工程はいずれも単体では目立ちにくいものの、わずかなバラツキがシミや変色、ムラといった不良につながります。
本記事では、めっき後処理の基本的な流れを整理しながら、各工程で押さえておきたい考え方や管理のポイントを、現場視点で解説します。
前処理によって汚れや酸化皮膜を除去しても、めっき後の被膜表面には薬品成分や水分が残ります。これらが十分に除去されないまま乾燥工程に入ると、濃縮や反応が進み、シミや変色として表面に現れることがあります。
特に、槽からの持ち出し液が多い場合や、形状的に溜まり水が発生しやすい製品では、後処理の良否がそのまま外観品質に反映されます。
後処理は、めっき膜表面を安定した状態に整え、次工程へ不要な要素を持ち越さないための工程です。
水洗・中和・変色防止・純水洗・水切り・乾燥を通じて、付着成分を段階的に減らす/表面反応を抑える/乾燥時の濃縮やムラを防ぐ、といった役割を担っています。
水洗は、前工程からの持ち出し成分を希釈・除去するための基本工程です。
水質の悪化や更新不足は、そのまま後工程への負荷となるため、複数段水洗や攪拌、ワーク姿勢の工夫によって、溜まり水を減らすことが重要です。
管理の目安として、電導度などを用いた水質の見える化も有効です。
酸性・アルカリ性成分の持ち出しがある場合は、中和工程を設けて影響を抑えます。
ただし、過剰な中和は再汚染や析出の原因となるため、必要最小限の条件設定と、その後の水洗による残留除去が前提となります。
乾燥時や保管中の変色を抑える目的で、変色防止処理を行う場合があります。
有機系・無機系の処理液を材料や用途に応じて選定し、「薄く均一に効かせる」ことが重要です。濃度過多や処理ムラは、白化や外観不良につながります。
純水洗は、イオン性不純物や微量成分を低減し、乾燥時のシミ発生リスクを下げる工程です。
電導度の上昇や有機汚染の蓄積は外観不良の原因となるため、定期的な確認と更新が欠かせません。
乾燥前の水切りは、後処理全体の中でも特に重要な工程です。
低速引き上げによる液膜の均一化、遠心による溜まり水除去、アルコール置換など、形状に応じた手法を組み合わせることで、乾燥ムラを抑えます。
乾燥工程では、温度・時間・風の当たり方を安定させ、急激な加熱や偏りを避けます。
乾燥後は速やかに梱包・保管し、再汚染を防ぐことも重要です。
IPAや塩化メチレンを用いた溶剤乾燥は、水置換と揮発を利用して乾燥ムラを抑える方法の一つです。
溶剤の汚染や含水が進むと効果が低下するため、更新管理や換気・安全対策を含めた運用が前提となります。
一時的な防錆や外観保護を目的として、水溶性樹脂を用いる場合もあります。
濃度や付着量が過剰になるとムラや曇りの原因となるため、目的に応じた条件設定と管理が重要です。
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